
ネタバレなし 概要
『チェンソーマン』は、週刊少年ジャンプにて連載していた漫画です。現在はジャンプ+で第二部が連載中ですが、今作は、一部の中でも特に人気の高い「レぜ篇」がスクリーンに登場です。
あらすじ
「チェンソーの悪魔」との契約により「チェンソーマン」に変身し、公安対魔特異4課所属のデビルハンターとして悪魔たちと戦う少年デンジ。公安の上司である憧れの女性マキマとのデートに浮かれるなか、急な雨に見舞われ雨宿りをしていると、レゼという少女に出会う。近所のカフェで働いているというレゼはデンジに優しくほほ笑みかけ、2人は急接近する。この出会いをきっかけに、デンジの日常は大きく変わりはじめる。
映画comより
映画感想(ネタバレ気にせず) ①基礎基本
チェンソーマンというと、割とはっちゃけていたり、とんでも展開が印象にあるのですが、このレゼ編は、非常に基礎基本のしっかりとした、映画向けの作品だったと思います。
起承転結がはっきりとしていますし、出てくる登場人物全員に意味があります。活躍の場面があります。無駄がありません。特に感心したのは、終盤のアクションに向けた準備段階が秀逸なことで、レゼとの出会いと交流を見せる序盤中盤は、決してつまらないわけではないのに、着々と不安感やフラストレーションを溜めさせられていて、デンジがチェンソーマンに変貌して暴れ出した瞬間、心がそれを待ち望んでいることに気がつき、ただでさえクオリティの高いアクションシーンが、さらに最高なものに進化している感覚でした。
今回のMVPはサメの悪魔ですね。デンジがサメに乗った瞬間、笑いながらも鳥肌が立つくらい興奮しましたから。マキシマムザホルモンの曲ともぴったり合っていて、アクションシーンは、結局デンジは負け続けているにも関わらず、カタストロフィを誇張ではなく1秒ごとに感じました。
その他にも、レゼの妖艶な立ち振る舞いの描き方、レゼに心が宿ったかのような心情変化、脇役キャラの心の変化は、場面ごとに切り取ると見たことがない独特の描写に感じられますが、よくよく考えてみると、他の有名作品に通ずる基礎基本の土台がしっかりしていることに気がつくのです。
そこがなんというか、嫉妬するポイントですよね。やりたいことをやりたいようにやりつつも、基礎的な部分は実はしっかりと押さえていて、人を興奮させるという。完成度が高すぎて気に食わない(褒め)
②詰め込まれた感情起爆剤
最終的には、上手いな、という感想に帰着してはしまうのですが、今作には様々な感情を引き起こさせる起爆剤があちらこちらに用意されていました。
序盤には当然レゼの誘惑をデンジと一緒に受けている感じがしましたし、同時にやばいぞこれはというハラハラ感や不安感も抱きました。しかもそれに加え、なんとなく青春の成功と失敗に目を向けたくなる、ノスタルジーな雰囲気にも駆られました。
アクションシークエンスはもう、先ほども言いましたが、ドラッグでも吸ったかと思ってしまうくらい楽しくて興奮しました。一般人が次々死んでいっても楽しいくらいでした。単純にアクションを楽しむ童心に帰れたと同時に、各々のキャラの心情や覚悟を考えながら冷静に楽しむ大人心も一丁前に感じさせられました。
結末にはもちろん、倒したという爽快感、達成感と並行して、切なさとボタンのかけ違いを憂うやるせない苦しみを抱かずにはいられませんでした。そしてここにきて改めて、心とは何か、人生とは何か、というかこの作品は何を伝えたいのだろうという、答えの出にくい疑問がずっと胸中に渦巻いていることに気がつきました。
相反する感情を次々と感じてかなり疲れました。同時にまた、嫉妬しますね。
まとめ
米津さんのオープニング良かったですね。低音が最高でした。冒頭で心掴まれた一つの要因です。
アニメの主題歌であったキックバックをあの映像と共に体験したかった気持ちも少しあります。
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