
IMAXで観てきました。興奮と感動で震えました。

映画『F1/エフワン』とは?(ネタバレなし)
『F1/エフワン』は、日本では2025年6月27日に公開された、ハリウッド超大作です。Appleが製作・配給につき、F1全面協力によって作られた今作は、製作費が3億ドルを超えたそうです。とんでもない規模の作品ですね。公開直後の週末だけで世界興行収入が1億4400万ドル(約207億円)を超えたそうで、順調に盛り上がっています。

主演はブラッド・ピット。御年61歳ですが、その色気は健在です。日本にも来日したそうで、東京の立ち飲み店に出現するニュースをテレビで見ました。
監督はジョセフ・コシンスキー。『トップガン・マーヴェリック』の監督です。今作が注目されているのは、どこで誰が言い始めたのか知りませんが、「地上版トップガン」と言われているからです。
何に感動するかというと(ここからネタバレあり)
特定のエピソードや、主人公ソニーヘイズの気持ちの変化に感動したというよりかは、F1にかける人々の熱意と、熱意を込めた塊である車が、練磨された神々しい舞台を駆け巡ることに、感激しました。
普段の動画では見ることのできないアングルからレースを体験でき、元々F1に関しては全くの無知な僕ですが、それでも洗練されたマシンが動く爽快感と、そこに賭けている人々の熱意が感じられて、全てのレースで、展開関係なく感動してしまう自分がいました。
無知ゆえに、F1における駆け引きや戦略の重要性を、レースごとに学んでいけましたし、ピットに入る意味も段々と理解できていったような気がします。何より驚いたのは、車体も、整備環境も、コースも、とにかく綺麗だということです。別に汚いという印象があったわけではないですが、思っていた以上に、技術の最先端が集結しているといった印象を受け、固定概念が刷新されました。
チームの結束が深まっていくのも見ていて気持ちがよく、お決まりの王道展開ではありますが、最後、全員が嬉し泣きをする場面では、当然僕も泣きました。困難を全員で乗り越える映画っていいですよね。
映像に合わさる音楽も最高で、すっかり映画の世界に浸かってしまいました。トップガンの制作陣が集っていることでバイアスがかかっているのかもしれませんが、トップガンっぽい音楽が響いた瞬間もあると感じ、とても嬉しかったです。地上版トップガンと言われるのも、少し納得できました。
できることなら、映画が2時間で終わらずに、ここまま何シーズンもソニーたちAPXの戦い様を観ていたいと感じました。
不思議なことに
すごく面白く、チームのことも好きなのに、映画全体を振り返ってみると、意外とぼんやりとしており、レース以外では何が起こっていたのかわからない印象が強いのが正直なところです。
結局ソニーはF1に対してどんな感情を抱いているのか、ピアスは態度がコロコロと変わりすぎではないのか、いったい何がきっかけでチームがまとまり出したのかが、いまいちよくわかりません。世界9か国でレースがあり、その度に色々起こったのは覚えていますが、何があってどういう結果になったのかが、いまいち。
世界各国を巡る、なんというか、「バブル感」みたいなものは凄く伝わってきて、異次元の世界に連れていかれる快感や、煌びやかさに恍惚とはしましたが、それが目的となっていたせいで、レースの数が多くなり、ストーリーラインがぐちゃぐちゃになっていたのかもしれません。
若い頃の夢を追い求めるソニー。若く感情が不安定なピアス。チームで転戦をする中で培ったチームワーク。単純な解釈だけで理解することはもちろん可能なので、観ている最中はそこまで気にならなかったのですが、ストーリー上の欠点は多くあったと思います。
逆に、キャラのなんとなくの動機さえわかっていれば、後は映像や魅せ方でねじ伏せてやるという、製作陣の覚悟やプライドのようなものを感じて、それはそれでよかったです。
ストーリーはいまいちでも、キャラクターの立たせ方は一流でした。ソニーはかなりかっこよかったです。ソニーがカッコいいのか、ブラピがカッコいいのか最早よくわかりませんが、冷水に顔や体を突っ込む様も、運転する様も、女性に手を出す様も、ボロボロの服を着ている様も、口論する様も、全てが無条件でカッコいいですし、ソニー以外の人々も、表情や喋り方、感情の出し方が個性的で、かなり魅了を感じました。
つまり、ストーリー的には何が起こったかわからなくても、キャラクターの表情で、なんとなくうまくいっていることがわかり、あるいはうまくいっていないことがわかり、ストーリーの破綻を覆い隠しているのです。
本当に不思議なバランスで作品が出来上がっていました。
嫌だったこと
F1の世界を全く知らない僕でしたが、とてつもなく楽しむことができました。
むしろ知らないことで、いきなり未知の世界に飛び込むことができ、圧倒的な没入感と緊張感がありました。
F1に興味が出てきました。
しかし、エンドロールで、そんなことを考えながら余韻に浸っている時、隣にいたおじさんが、非常に嫌な態度を取っていて萎えました。映画が始まる前から、足を乱暴に組んだりしていて態度が悪かったのですが、エンドロール中に、奥さんに話しかけ始めて、蘊蓄を語り始めました。
きっと普段からF1に触れており、詳しいんでしょうね。ヘルメットにどんな文字が書かれていたとか、ペダルがああだこうだと語り、それはまぁいいのですが、「全く気付かなかった」という奥さんに対して、おじさんはこう答えたのです。「お前、何を見てたんだよ」、と。
夫婦の会話を勝手に聞き、あれこれ思うのは悪いとは思うのですが、知識がある者が、知識がない者を侮蔑する世界は大嫌いです。どんな世界にもそういう人はいると思いますが、F1に興味を持った瞬間に、隣にそういう人がいるせいで、なんだかもう、最悪な気分でした。
いい解釈をするのなら、F1玄人も、いやF1玄人だからこそ楽しめる映画だったということでしょう。そうしておきます。
最後に映画外の文句を書いてしまい申し訳ありません。何故か指が勝手に動いてしまいました。映画の熱量と情熱に圧倒された後に戻ってきた現実があまりに悲惨で、虚しくなったのかもしれません。
まとめ
間違いなく、映画館の大スクリーン、欲を言えばIMAXで観ることをオススメする映画です。ストーリーラインが弱いので、家でながら見をすると物足りないかもしれません。巨大なスクリーンと音響で、迫力とスピードを体で受け止めることで、完全な映画体験ができるはずです。ぜひ、スクリーンで。
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