短編小説『どっちみち』

小説

 陽光が届かない。数多の浮遊物で遮断されているからだ。
 私は倒れて目を閉じた。あまりの飢えのせいである。
 どれだけの時間そうしていたかはわからないが、誰かの声がしたから目を開けた。
「お腹が空いて死にそうです」
 青い魚がいた。私の二倍以上の大きさである。
 私が黙っていると、魚は口を開けた。
 歯が欠けている。
「困った世の中になりましたね」
 私がそう言うと、魚は申し訳なさそうに頷いた。
「すみません」
「いえいえ」
 私は着ていた服を脱いだ。
「どっちみち、ですからね」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ひと口解説

we should be concern about the plastic waste we produce.

プラスチックに覆われた海で暮らす、生き物たちのディストピアを描いた作品です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました