歯医者で最も恐ろしいことは、治療の痛さだと、そう思っていませんか？
違います
虫歯治療は無論痛いけれども
「治療が痛い」というのは、もちろんれっきとした事実です。
当然、歯を抜くにしろ、削るにしろ、人間を傷つけていることに変わりはありません。痛くない方がどうかしているのです。
麻酔というものがありますが、そもそも、治療の前に麻酔の注射を打つこと自体が怖くて痛いですよね。また、これは僕だけかもしれませんが、歯医者さんが麻酔をかけずに痛い治療を始めやがることだってあります。さらに、麻酔をしたって痛みが完全になくなるとは限りません。神経に触れた場合、麻酔をかけていても痛みを感じてしまうという経験を、僕は何度も何度も、何度もしました。
そういった諸々の痛さにまつわる恐怖を鑑みて、歯医者で最も恐ろしいことは治療の痛さだと思うのも無理はありません。
ただし初心者ですね。
歯医者で本当に恐ろしいこととは
僕くらいの通院歴を持つ猛者ともなると、治療の痛みはもはや分かりきったことであり、むしろ歯磨きを疎かにした自分に対する戒めの痛みだと受け入れようとさえします。
本当に恐ろしいのは、治療の最終日なのです。
長きに渡る、激痛と面倒くささに覆われた日々がついに報われるその日、自分の罪がついに許されたと思えるその日、最後に歯医者さんはこう言うのです。
「最後に他の歯のチェックだけしますね」
天使のような微笑みでそう言うので、僕もまた無警戒に歯を開き、開放感に包まれながら歯医者を出る自分を想像しています。
歯医者さんは口を見て、全くもって平然とこう言います。
「あ、虫歯がありますね」
おわかりいただけましたでしょうか
そうして僕の、新たなる歯医者の物語が幕を開くのです。
僕はもう幾度となくこのパターンで治療続行が決定し、海外ドラマも顔負けの引き伸ばし展開で、歯医者(敗者）の物語を続けているのです。
皆さんお分かりになられましたね。歯医者で本当に恐ろしいのは、治療の痛みではなく、歯が治ったと思った時に、新しい虫歯を発見されることなのです。
来週、僕の最後の治療日があります。
どうか、どうか今回は…….！
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