フーコック島二日目の夜です。
ベトナムは暑いので、人々は昼はぐったりと過ごし、夜になると活発に動き出します。
僕もまた、午前中にガラガラの観光地を楽しんだ後はすっかり暑さにやられて、ホテルのプールで涼み、爆睡をかましていました。旅行という限られた時間の体験を台無しにしている馬鹿に見えるかもしれませんが、僕は旅行先で(特に南国の海沿いで)ダラダラした時間を過ごすのがかなり好きなんですよね。人生のありがたみを感じる、というと表現が大袈裟ですが、それに似た感覚です。
夜が近づき、流石に旅行気分が戻ってきたので、かねてから行こうと思っていたフーコックのナイトマーケットに行ってみることにしました。

場所は島の中心部で、泊まっていたホテルからは5キロほどでした。昔の意気揚々の僕でしたら、きっと5キロを歩いたでしょうが、今の僕にはそんな気概はなく、grabを使って楽をしました。grabの運転手がやたら陽気で、「ベトナムの女性はどう思う?俺はベトナムの女性のことを多く知ってるぞ」なんてことをペラペラ語ってきました。「あなたはイケメンですもんね」なんて適当な返事を返しながら会話をしていると、あっという間に着きました。もう少し話を聞いていたいと思える興味深いドライバーに限って目的地が近いんですよね。

こちらがナイトマーケットの入り口です。誤解を招かないように言っておくと、ナイトマーケットはどこにでもあります。タイでもナイトマーケットと呼ばれるものがありましたし、フーコックの他のところでもナイトマーケットはあります。ただこの場所のナイトマーケットが島で1番巨大で知名度もあるので、フーコックのナイトマーケットと呼ばれているのです。なので、もしかしたら別の正式名称があるかもしれません。

このような感じで、狭い通路に所狭しとフード、お土産の屋台が並び、観光客が通ると、ほぼ全ての店から勧誘の声が飛んできます。数を打てば当たると言わんばかりに、「Hello,アニュハセヨ、你好」と挨拶の連続攻撃が飛んできます。10回に1回の確率で、「こんにちは」と言う奴もいて、やっぱりこんにちはと言われるとほぼ反射的にそっちに目を向けたり、会釈したりしてしまいます。しまった、と思った時には遅く、執拗な勧誘の攻撃にさらされます。

ナイトマーケットは5時から11時頃までやっています。6時に到着した時は客はまばらで、ここもガラガラなのかと訝しんでいましたが、夜が更けるにつれて観光客が増え、7時半には歩くのもままならない状態になっていました。ただ、人でごった返すことで、店の人々の勧誘対象が僕だけではなくなったので、恐怖やめんどくささが減り、熱気ある雰囲気に感じられてきました。人間が密集する身体的な熱気と、様々な言語の会話が入り乱れる言葉の熱気が、狭い通路に充満していました。

屋台だけではなく、椅子と机のあるレストランもあります。

フーコック島といえば海鮮です。ところせましと水槽が階段状に山積みにされ、これから調理される生物らが最後の生を全うしている姿を見ることができます。フーコックに来ておいてなんだという話ですが、僕はどうも日本以外の海鮮が苦手で、せっかく来たんだからここでしか食べられないもの食べなよ、という自分と、せっかく旅行にきたんだから自分の好きなもの食べなよという自分が絶えず戦っていました。
そんなこんなでまた僕の悪い癖が出て、何か食べたいなと思いながら決断をすることができず、一時間程ただただナイトマーケット中を彷徨っていました。決断ができないとどんどん緊張もしてきて、このままメンタルの調子を崩し、家に帰って寝る未来も見え始めましたが、せっかく一人でベトナムにきたんだぞと自分を奮い立たせて、目の前にあった屋台でドリンクを頼むことにしました。

一時間も緊張しながら歩いていたら、そりゃ喉が渇きますよね。何が飲みたいかも決めずに屋台の前に出てきてしまったので、咄嗟の判断で、ミックスジュースを頼むことにしました。

目の前でありとあらゆる果物を砕いてドリンクにし、渡されたのがこちらです。しっかりと製品化されたドリンクとは違い、謎の泡をふいていますし、果実の破片も残っていますし、何よりも色があまり美味しそうではありません。が、飲んでみると、美味しい。味わったことのないいくつかのフルーツが顔を覗かせて、日本のミックスジュースとはタイプの異なる味わいを生み出していました。酸味がけっこうありました。

一回勇気を出して決断をすると、二回目からは楽です。ジュースを片手に、japanese TAKOYAKIと書かれた偽日本料理屋台に殴り込みにいきました。散々馬鹿にしてやろうと思って買ったのですが、意外にも普通のたこ焼きでした。鰹節とソースをかけてくれて、文化祭でどこかのクラスが出したたこ焼きを連想させます。、可もなく不可もないけれど、可と言っておこう、という感じ。美味しかったですけどがっかりしました。

お次はこの黄色い看板の、黄色い服のおじさんが作る、黄色の料理を頂きました。ベトナム風のたません、といったところでしょう。パリパリの卵の上に、ソーセージや、小エビや、よくわからないものなどがたくさん入っていて、おつまみのような感覚で食べました。



また、勇気を出して、BBQという形ではありますが、イカにも挑戦しました。

イカです

イカです。
その下にあるものには怖くて手が出せませんでした。

イカは、信じられない硬さで食べるのに一苦労しましたが、味はおつまみのスルメみたいで(当たり前ですが)、美味しかったです。結局、一緒に買ったポークが美味しいんですけど。

ナイトマーケットの中でもやたらと組織だって勧誘してくる店が、味付きの豆を売っているお店です。大きなお店らしく、ナイトマーケットの中に三か所程拠点を構えていて、常に4、5人の人間が通路で待ち伏せをしています。一口どうぞと言われて食べてしまったら、断りにくくなるのが人間の常です。まるで化け物に食べられるかの如く売り場に誘われます。凄まじい団結力です。
最も、豆は人気で、30種類の味があり、お土産にもってこいです。僕もいくつか食べさせてもらって、ココナッツ味を家族のために持ち帰りました。
最後の締めとして、ロールアイスもいただきました。ロールアイスの屋台は結構な数があり、大体は少年や青年が担当しています。持っている道具でずっと鉄板を叩いていたので、かなりうるさいです。
味は文句なしです。一つ気になる点があるとすれば、使っているカットフルーツが、ずっと常温で置かれたものである点くらいですね。(大問題)




ナイトマーケット、いかがでしょうか。観光客しかターゲットにしていないので、値段が高めに設定されてはいますが、ベトナムの陽気さや、旅行に来たな!という高揚をを感じることができるので、オススメできます。
記事の締めくくりに、ナイトマーケット周辺の海沿いの写真を載せておきます。ナイトマーケットの熱気とは対照的な、気持ちの良い風の吹く、のどかなエリアでした。






写真を見ているだけでも、気分が良くなってきます。
次回、夏の到来
続く
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