常に家にいて小説を書いたり映画を観たり、引き籠った生活をしていると、その反動で猛烈に旅に出たくなることがあります。
車を借りて愛知から福井へと行ってみることにしました。距離的には意外と近いですが、僕にとっては未知の世界です。
2026年5月の出来事です。
所要時間は?
愛知に住む身として、福井は非常に遠いイメージがありましたが、名古屋市内から福井市内までは、高速道路を使えば、2時間から2時間30分ほどで行くことができます。距離にして約170キロ。名古屋から大阪までとさして変わりません。
意外でした。
出発前のしょうもないミス
僕は自分の車を持っていないので、借りるしかありません。しかしそれが結構気に入っています。
レンタカーの良いところは、毎回違う車に乗れることです。どうやら僕は車の内装に興奮する人間のようで、ドリンクホルダーが付いている場所だとか、ナビの位置だとか、液晶の機能性だとか、一概に車と言っても多岐にわたり、毎度新しい車に乗る度に、まるで初めて泊るホテルの部屋を覗く時のような興奮を感じます。
朝6時という早朝(僕からしたら)に準備を整え、意気込んで車に乗りました。しかし、車を走らせる前に車の各種機能を軽く確認しようとしたところ、給油口を空けるためのレバーが見つからないではありませんか。レンタカーの短所が早速出現しました。慣れ親しんだ車ではないので、どこに何があるのかわからないのです。特に給油口のレバーは車によってついている場所がまちまちで、僕はよりにもよって有人のガソリンスタンドで、給油口の代わりにボンネットを開けてしまった恥ずかしい思い出があります。
給油口のない車があるものかと自分に言い聞かせて一度落ち着き、改めてハンドル周りを念入りに捜索しましたが、見つかりません。段々と苛立ちが募り、説明書まで取り出して給油口開口レバーを探しますが、見つかりません。給油と書かれたページを見ても、給油時の注意事項が書いてあるだけで、どこにボタンやらレバーがあるかが一切記入されていないのです。この役立たずが! 僕は説明書を投げつけました。
その衝撃音で思い立ったのです。この車にはそもそもレバーがないのではないか、と。僕は慌てて車を出て給油口の前に立ち、恐る恐る押してみると、いとも簡単に開いてしまいました。押して開けるタイプの給油口とは初めての遭遇だったのです。
僕はため息をついて暫くその場で固まり、時間を確認すると6時40分でした。僕はのべ40分も、ないレバーを探して時間を浪費していたのです。
怒りというよりもう、疲れました。もう福井なんて行かずに家で寝てやろうかと不貞腐れもしました。
さぁ、出発です。
出発後の爽快感
少しハンドルを回し過ぎたり、少しブレーキを踏むのが遅いだけで死に直結する危険な乗り物なのに、どうもこう、車ってのは時に自分でも信じらないくらいの爽快感を与えてくれます。
すっかり不貞腐れていた僕ですが、運転し始めると次第に気分がよくなっていきました。北陸への道は、平日だったこともあり非常に空いていて、恐ろしい暴走車も腹立たしい遅延車もいない、のどかな道程が続きました。森の綺麗な空気と、伸びやかな青空が心を癒し、僕は早速このドライブを選択したことが間違いではなかったことを悟りました。

やっぱりドライブ旅の醍醐味はパーキングエリアですよね。岐阜のパーキングで高山ラーメンを朝から頂くことにしました。旅行の時は朝から食べたいものを食べると決めています。

危険な道もある、けれども絶景もある
東京や大阪などの都会への道と違って、北陸への道は全てが二車線以上の大きな道とは限りません。
グーグルマップを信頼してきっていた僕は、てっきり延々と高速道路を走るものかと思っていたら、なんだかわけのわからない狭い山道に下ろされ、1車線の激しい峠越えを余儀なくされました。後ろから迫りくる車のプレッシャーに怯えながら進む知らない山道程恐ろしいものはありません。ハンドルを握る手に汗が滲みました。
しかし、そんな中でも、横に美しい水面が聳えていることには気が付きました。鬱蒼とした森の中に広がる静謐な水面は僕の心をぐっと掴み、ハンドルに過剰に込められていた力が抜けるのを感じました。
ここはなんだろうと思ってもスマホを触ることはできませんし、一人旅なので写真を撮ってもらうこともできません。隣に誰も乗っていないことを少し寂しく思いました。
ただ、恐らく僕みたいに水面に引寄せられる人間が多いのでしょう。道の脇に車を停めるスペースがいくつもあり、僕もその一つに車を停めました。

ここは九頭竜湖と呼ばれる人工の湖だそうです。ただ、人工とはとても思えない自然の神々しさを感じましたね。息を吸って吐くだけで、自分がこの場所に立っていることへの喜びがこみ上げてきました。これが一人旅行の醍醐味です。じっくりと自然を味わうことができます。


元気が出た僕は、かなりリラックスした状態で運転を再開することができました。後ろからプレッシャーを与えられようが気になりません。そういったことをしてくる愚か者には大人の余裕で道を譲ればいいのです。
好きな音楽を聴きながら、好きなポットキャストを聞きながら、2時間半。
あっという間でした。大阪方面や東京方面に行く時と違って、総交通量が少ないのも本当にストレスを軽減させてくれます。

気が付けば日本海がすぐそこに。
続く

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