注意事項
こちらは2026年2月時点での情報となりますので、お気をつけ下さい。
・水族館と美術館の融合


場所と金額
銀座三越新館9階でチケットを購入し、エスカレーターで下の階へ。8階にアートアクアリム美術館はあります。大人一人2700円。ネットで買うともう少し安い模様。
不安
僕は少し複雑な心境でした。水族館をアートにするという発想は想像するだけで幻想的で、実際写真を見てとても美しいと感じていました。しかしながら同時に、この水族館に意義はあるのだろうかと疑問に感じたのです。大抵の水族館は、海生生物を自然に近い環境で育てることで、生態を把握して守るだとか、観客に海を身近に感じて大切に思ってもらうだとか、生物を監禁して殺しているだけだと主張する人々に対抗できうる意義を持っています。もしそうでなければ、僕も水族館を嫌いになるでしょう。果たしてこの水族館はどうなのか。金魚は光を浴びて苦しくはないのだろうか。不安がありました。
エスカレーターで8階へ降りると、そこから先は暗闇の世界。金魚と光のコラボレーションが広がっていました。赤を基調とした光の中で泳ぐ金魚は優美でありながら冷たさも携えており、美術館と聞いていたので勝手に西洋的な美をイメージしていたのですが、非常に東洋的、それも日本よりも中国を彷彿とさせる美だと感じました。




僕は何度も「地獄」を感じました。禍々しい灯篭、煮えくり返る壺のような水槽。彼岸を連想してしまう花々。どこかひやりとするような感覚、でも綺麗。恐ろしい場所というのは、時に人を惹きつける異常なまでの美しさを持つものです。行ったことがないので知りませんが、もしかしたら地獄というのは非常に美しく惨酷な場所なのかもしれません。




問題点
しかし、進むごとに演出が凝っていき、金魚の存在感が薄れていってしまいました。入って最初の水槽は本当に綺麗でした。暗闇に浮かび上がる四角形の水槽の中に、美しい花と金魚が絶妙なバランスで配置され、まさしく動く美術品を鑑賞している感動がありました。水ようかんのように見えたと思いきや色のついた水墨画に見えたりと、水槽から目を離さないでいるのに、その様相は滑らかに変わっていきました。



そこからはどんどん派手になっていき、そのくせ金魚以外の生物は登場しないので、じわじわと金魚の存在が意識から離れていきます。



次に再び良かったと思えたのは、派手な演出と派手な水槽で構成された場所ではなく、丸窓を覗き込んだらそこに悠然と泳ぐ巨大金魚がいる水槽でした。美しく、そして渋い。やはり中国の美術や、漢詩に触れているような気分になっていきます。




そして僕は思いました。派手な演出は必ずしも必要ではないと。水族館で暮らす生物(ここでは金魚)は、既に観る人を魅了する美術的美しさを持っているのです。それを無理に引き立たせようとするのではなく、寄り添う形で引き立たせようとするアプローチの方が、本来持つ美しさを導き出せるのではないかと考えました。
今回の体験をもちろん楽しみました。写真を今見返していますが、本当に綺麗な空間だったと再認識しています。ただ、金魚にとってこの環境はいいのか。僕は最後まで首を縦に振る気にはなりませんでした。通常の水族館よりも狭くいびつな形をしている水槽で泳ぐ金魚に対して、自分勝手ではありますが可哀想だと思ってしまいました。本質を辿れば、他の水族館だって同じことをしているのはわかっています。わかっていますが、やはりこの水族館には人間ファースト、観光ファーストが前面に出ていたことは否めないかと思います。

しかし、美術館と水族館の結合というアプローチは素敵でした。当然生物は自然のままの姿に最高級の価値がありますが、人々が何か手を加えることで、より高次の美や心の深奥を刺激する何かを創り出せる可能性を感じたのです。
まとめ
良い経験でした。多くの水族館が、美術的な視点で自分らの水族館を見つめ直していくことで、より水族館の未来が広がるような気もしました。今はまだ観光客向けの、人間第一のアミューズメント施設なのかもしれませんが、生物に優しく人にも優しく、さらに美術的価値の高い場所に進化していく可能性は十二分にあると思います。

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